その薬品投入、適正ですか?排水処理薬品管理のコツ

皆さまこんにちは。

関西を中心に排水処理設備の保守・修繕をはじめ、それに関連した電気工事・配管工事・計装工事なども一貫して対応している、大阪府堺市の水処理事業者、㈱エスプラントサービスです。


排水処理設備の管理において、凝集剤、中和剤、消泡剤など様々な薬品が使われています。これらは水質を基準値内に保ち、安定した処理を行うために不可欠ですが、「投入量が多すぎる」「不足している」「種類の選定が誤っている」といった問題が、現場で少なからず発生しています。

薬品管理の不適正は、処理コストや水質の悪化だけでなく、法令違反や設備トラブルにもつながる重大なリスクです。


本記事では、排水処理薬品の管理を適正化するためのポイントや改善のコツを、具体的な事例を交えてご紹介します。



■薬品投入の適正化がなぜ重要か


排水処理薬品の役割は単純に見えますが、その効果は投入量や投入タイミングに大きく依存します。例えば、凝集剤(PACや高分子凝集剤)は汚濁物質を沈降・除去する役割がありますが、過剰投入するとスラッジ量の増加や薬品コストの無駄遣いにつながります。

一方、投入不足では沈降が不十分になり、SSや濁度が上昇して水質基準を超過する可能性があります。


また、中和剤(苛性ソーダ、硫酸など)については、pHの変動が処理能力に直結します。pHが適正範囲を外れると、微生物処理(生物処理)の働きが低下したり、後段の設備に悪影響を与えます。


薬品管理は、単なる「入れる・止める」作業ではなく、水質・設備・コストを同時に最適化するためのバランス調整だと言えます。



■現場で起こりやすい薬品管理トラブル事例


実際に現場で起こりやすいトラブルを事例別で紹介します。


事例1:担当者ごとに投入量がバラバラ

ある製造工場では、シフトごとに担当者が変わるたびに凝集剤の投入量が微妙に異なっていました。結果として、同じ条件でも処理水質が不安定になり、時には法令基準を超える値が出てしまうことも。原因は、投入基準が「経験則」のみで、定量的な管理がされていなかったことにあります。


事例2:薬品の過剰投入によるコスト増

別の工場では、水質悪化の懸念から安全マージンを大きく取りすぎ、中和剤を必要量の1.5倍投入していました。pHは安定しましたが、薬品費用が年間で数百万円規模の無駄になっていたことが後の分析で判明しました。


事例3:薬品切れによる処理停止

在庫管理の不備で、重要な凝集剤が週末に切れてしまい、処理を停止せざるを得ない事態が発生。緊急購入で高額な費用を払い、さらに生産計画にも影響を及ぼしました。



■薬品管理を適正化するための4つのコツ



このようなトラブルを未然に防ぎ、薬品管理を適正に行うためのコツを4つ紹介します。


コツ1:投入基準の「数値化」と「見える化」

投入量は経験値ではなく、処理水量や原水水質(pH、SS、BODなど)の計測値に基づいて決定することが重要です。

例えば、

処理水量あたりの投入量(mg/L)を算出

投入量と水質の関係をグラフ化

・日報やモニタリングシステムで履歴を残す

 これらにより、担当者が変わっても一貫性のある投入が可能になります。


コツ2:薬品の自動制御システムの導入

薬品ポンプに流量計やpH計を連動させ、自動で薬品投入量を調整するシステムは、安定性と省力化に大きく貢献します。初期投資は必要ですが、長期的には薬品コスト削減と水質安定により十分に回収可能です。


コツ3:在庫管理のルール化

在庫が切れないよう、「安全在庫量」を設定し、定期的な棚卸しを行うことが必須です。加えて、薬品納期や発注リードタイムを把握し、計画的に発注する仕組みを作りましょう。


コツ4:定期的な薬品評価と切り替え検討

同じ薬品を長年使い続けている場合でも、メーカーや配合の変更により、より高効率・低コストな薬品が登場していることがあります。年1回程度、サンプルテストやベンダーとの情報交換を行い、最適な薬品を選び直すことをおすすめします。



■薬品管理改善で得られる効果


薬品管理を適正化することで、以下のようなメリットが得られます。


薬品費用の削減(過剰投入防止、適正選定)

水質の安定化(法令違反リスク低減)

設備寿命の延長(pHや汚泥量の安定)

作業の属人化防止(誰でも同じ運用が可能)


特に、年間で数百万円規模のコスト削減につながるケースも珍しくありません。



■私たちエスプラントサービスができること


当社では、排水処理設備の薬品管理について、以下のようなサポートを行っています。


・現場調査による薬品投入量の診断

・水質データに基づく最適投入基準の設定

・自動制御装置の提案・導入支援

・薬品在庫管理の仕組みづくり

・薬品選定・切り替えの検証試験


薬品管理の改善は、すぐに大きな効果が見える投資です。もし現場で「薬品費が高い」「水質が安定しない」「担当者によってバラつきがある」といった課題を感じているなら、早急な見直しをおすすめします。


排水処理における薬品投入は、見えにくい部分ながらコスト・水質・安定運用すべてに直結する重要な要素です。感覚や慣習に頼った管理から脱却し、データに基づく適正化を進めることで、無駄を省き、安定した操業が可能になります。

薬品管理にお困りでしたら、ぜひ一度エスプラントサービスにご相談ください。


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