散気管の詰まり対策|曝気効率を回復し処理水を安定させるための実践ポイント

皆さまこんにちは。

関西を中心に排水処理設備の保守・修繕をはじめ、それに関連した電気工事・配管工事・計装工事なども一貫して対応している、大阪府堺市の水処理事業者、㈱エスプラントサービスです。


排水処理設備の中で、曝気槽の「散気管」はまさに心臓部ともいえる存在です。

微生物に酸素を供給し、有機物を分解させるために欠かせません。しかし、長年運転を続けていると、散気管の目詰まりによって曝気が不均一になり、水質悪化や汚泥トラブルの原因となります。


この記事では、現場でよく起こる散気管詰まりの原因と対策、そして再発防止のためのメンテナンス方法を詳しく解説します。


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1. 散気管が詰まるとどうなる?


散気管の詰まりは、曝気槽の運転データや目視点検でいくつか兆候として現れます。

現場で見られる典型的な症状としては、


・曝気槽の気泡が偏る(片側からしか出ない)

DO(溶存酸素)値が上がらない

ブロワーの吐出圧が上昇する

・汚泥が浮上・固まりやすい

・処理水のBOD・CODが上昇傾向にある


こうした症状が出た場合、まず疑うべきが散気系統の詰まりです。

長期間の運転で内部にスケール・バイオフィルム・鉄分沈着などが堆積し、空気の流路が狭まっているケースがほとんどです。



2. 散気管が詰まる主な原因


(1) 無機スケール(炭酸カルシウム・鉄・マンガンなど)

地下水や硬水を使用している場合、曝気によってpHが上昇し、炭酸カルシウムが析出して散気孔を塞ぐことがあります。

また、鉄分を多く含む原水では酸化鉄(赤さび)が付着して硬いスケールとなります。


(2) バイオフィルム・汚泥の堆積

散気孔の表面に微生物の膜や汚泥フロックが付着し、次第に空気の流れを阻害します。

特に負荷変動の大きい工場では、汚泥の性状が不安定になり、このタイプの詰まりがよく発生します。


(3) 凝集剤や薬剤の沈着

排水中のPAC、ポリマー、石灰などの薬剤成分が沈着して固着することもあります。

pH調整や凝集処理の工程と曝気槽の関係が密接な場合に起きやすいトラブルです。


(4) 経年劣化・破損

ゴム膜式散気管では、経年により膜が硬化・ひび割れして開閉が正常に行われなくなることがあります。

その結果、一部の孔が閉じたままになり、均一な曝気ができなくなります。



3. 詰まり対策の基本ステップ


(1) ブロワー・配管系統の確認

まずは散気管だけでなく、配管全体で圧力損失が発生していないかを確認します。

ブロワーの吐出圧を新設時と比較し、0.05MPa以上上昇している場合は、詰まりが進行している可能性があります。


(2) 散気管の逆洗・薬洗

最も一般的な対策が「逆洗(バックウォッシュ)」と「薬品洗浄」です。


逆洗:清水または空気を逆方向に流し、堆積物を吹き飛ばす。

薬洗:酸洗浄(希塩酸やクエン酸など)でスケールを溶解除去。


洗浄時は、曝気槽を一時停止し、散気管を系統ごとに切り替えて行います。

薬洗の濃度や時間は材質(EPDM、セラミック、塩ビなど)によって異なるため、メーカー仕様書の確認が重要です。


(3) 分解・清掃

劣化が進んだ散気管は、分解して内部清掃または交換するのが確実です。

長期的には新品交換の方がランニングコストを抑えられる場合もあります。


(4) 空気量の均等化調整

再組立て後は、各系統でエア量のバランス調整を行い、槽全体で均一に気泡が出ているか確認します。

偏りがある場合は、バルブの開度調整または散気管の再配置が必要です。



4. 散気管の詰まりを防ぐための予防保全


トラブルを未然に防ぐには、定期的な点検と洗浄のルーティン化が鍵です。


(1) 定期洗浄の実施

半年~1年に1回を目安に、逆洗または薬洗を実施。

ブロワー圧力の推移をモニタリングし、上昇傾向があれば早めの洗浄を検討します。


(2) ブロワー圧力とDOの記録

日常点検で「ブロワー吐出圧」「DO値」「気泡の状態」を記録しておくと、劣化傾向が把握しやすくなります。

圧力が上がり、DOが下がる場合は散気性能低下のサインです。


(3) 散気管材質の見直し

環境に合わない材質を使用していると、詰まりやすく寿命も短くなります。

例えば、硬水環境ではセラミックよりもEPDM膜式の方がスケール付着を抑えやすい場合があります。

逆に油分やSSが多い排水では、セラミック散気管の方が耐久性があります。


(4) 原水管理・前処理の見直し

pHや薬剤添加量を適正化し、曝気槽へ流入するスケール成分や汚泥固形物を減らすことで、詰まりリスクを軽減できます。

前処理工程(凝集沈殿、pH調整槽)の安定運転も重要です。



5. 更新を検討すべきタイミング


散気管の寿命は一般的に5〜10年程度とされていますが、環境条件によっては3年ほどで性能低下するケースもあります。

次のような状態が続く場合は、早めに更新を検討しましょう。


・洗浄しても気泡が偏る

ブロワー圧力が高止まりしている

・一部の散気管から全く気泡が出ない

膜の亀裂や剥離が確認できる


更新時は、既存配管サイズや槽形状に合わせた高効率散気管へのリプレイスが有効です。

最近では、微細気泡タイプや低圧損型など、消費電力を削減できる製品も多く登場しています。



6. 散気管メンテナンスのまとめ


7. まとめ:散気性能の維持が処理安定のカギ


散気管の詰まりは、放置すると曝気効率の低下だけでなく、処理水質の悪化やブロワーの過負荷にもつながります。

「少し気泡の出方が悪いな」と感じた段階で早めに点検することが、結果的にコスト削減にもつながります。


日常の小さな変化を見逃さず、


定期点検

圧力・DO管理

定期洗浄

材質・配置の見直し


これらを継続することで、曝気槽の安定運転と処理水の品質維持が実現できます。


8.散気管のトラブル・更新・改善は株式会社エスプラントサービスへ


当社は食品工場や製造業向けの排水処理設備について、現地調査から診断、洗浄、補修、更新提案までワンストップで対応します。


当社対応例:

現場調査・ブロワー圧力測定による原因特定

・散気管の逆洗・薬洗実施

・散気管の分解清掃・交換提案

・FRP槽や配管の補修対応

高効率散気装置へのリプレイス提案による省エネ設計


散気性能の改善は、処理の安定化だけでなくランニングコスト削減や設備長寿命化にも直結します。小さな兆候のうちに専門家に相談することをおすすめします。

槽写真、ブロワー圧力の履歴、最近の処理水データなどをお手元にご用意いただければ、より具体的な診断と対応提案が可能です。

散気管の詰まりや曝気不良などでお困りの際は、ぜひ株式会社エスプラントサービスへご相談ください。


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