皆さまこんにちは。
大阪府堺市に拠点を置き、関西を中心に排水処理設備の保守・修繕をはじめ、電気・配管・計装工事など一貫して対応しているエスプラントサービスです。
排水処理設備は、さまざまな機械が連動して稼働し、工場の生産活動を支える重要なインフラです。その中で、現場から最も多く寄せられる相談のひとつが「機械から異音がする」というトラブルです。
異音は、機器の故障前に現れる“早期警告サイン”であることが多く、放置すると重大トラブルや設備停止につながる可能性があります。
本記事では、排水処理設備で異音が発生しやすいポイントと、その原因、現場で取れる対策などを詳しく解説します。
1. 異音トラブルが多い設備とは?
排水処理設備には多種多様な機器が使われていますが、特に以下のような「回転体」や「送風・揚水機器」では異音が発生しやすくなります。
・ブロワ(送風機)
・撹拌機(エアレーター/水中撹拌機)
・汚泥ポンプ・原水ポンプ
・スクリューコンベアや脱水機
・浮上装置(DAF)
・スクリーンなどの搬送設備
・配管サポート・送気管・逆止弁まわり
これらの機器は、摩耗・劣化・詰まり・負荷変動の影響を受けやすく、異音として現れることが少なくありません。
2. 設備別:異音の原因とよくあるトラブル
(1)ブロワの異音:最も相談が多いトラブル
排水処理設備の心臓部ともいえるブロワ。
ここから発生する異音は、現場で最も多い相談のひとつです。
主な原因
・ベアリングの摩耗
・Vベルトの緩み・摩耗
・インペラの汚れによるアンバランス
・吸気フィルタの詰まり
・基礎・アンカーボルトの緩み
・防音材の劣化による共振
ブロワの異音を放置すると、最悪の場合シャフト折損や焼き付きにより、設備停止につながることもあります。
また、異音の裏に「空気量不足」が隠れており、生物処理不良を引き起こすケースも少なくありません。
(2)撹拌機・エアレーターの異音:水中で気づきにくい厄介さ
撹拌機・水中エアレーターは、処理槽の溶存酸素と撹拌力を維持するために欠かせない機器です。
主な原因
・羽根・軸の曲がり
・モータ内部のベアリング異常
・糸くず・ビニール片・ウエスの巻き付き
・減速機の損傷
・水中ケーブルの擦れ音・振動
特に、羽根への固形物の巻き付きは、目視点検で気づきにくく、「以前より音が大きくなった」「ガタガタ振動する」といった異音として現れます。
(3)ポンプの異音:キャビテーションが発生している可能性も
原水ポンプ・汚泥ポンプなどは、異音が出た段階で性能が大きく落ちていることが多い機器です。
主な原因
・キャビテーションによるガラガラ・カラカラ音
・インペラ摩耗によるガタつき
・異物噛み込み
・ベアリングの損傷
・逆止弁のチャタリング音
・エア噛み
キャビテーションは、ポンプ内部で水が気化・圧縮されて破裂する現象で、金属摩耗を引き起こし、最終的にはインペラ破損につながります。
「吸い込み側のストレーナ詰まり」や「配管の閉塞」が原因のことも多いため、異音を聞いたら早めの点検が必要です。
(4)脱水機・スクリュー系設備の異音:摩耗と偏りが原因
ベルトプレス、スクリュープレス、スクリューコンベアなどの回転機器は、日常的に摩耗が発生するため、異音に発展しやすい設備です。
主な原因
・スクリュー羽根の摩耗
・ギア・減速機の損傷
・ベルトの偏りやテンション不足
・異物噛み込み
・ローラーの劣化
異音を放置すると、スクリューが金属に干渉したり、ベルトの破損につながったりするため、定期的なグリスアップと内部点検が欠かせません。
(5)浮上装置(DAF)周りの異音:ポンプとチェーンの不具合が多い
加圧浮上装置では以下のようなトラブルが多く見られます。
主な原因
・加圧ポンプのキャビテーション
・スクラッパチェーンの張り不足
・スキマーの固着
・減速機の異常
チェーンが伸びてガタついたり、浮上槽のスキマーが偏って動くことで「ガシャン」「バタバタ」といった音が発生することもあります。
3. 異音を放置するとどうなるのか?
異音は単なる“気になる音”ではありません。
放置することで次のようなリスクを伴います。
・突発故障による設備停止
・処理能力の低下(曝気不足・汚泥循環不足)
・生物処理の悪化・悪臭発生
・修理費・交換費の増大
・安全リスクの増大(破損・落下の危険)
例えば、ブロワのベアリング異音を放置した結果、焼き付きにより軸がロックし、曝気が完全に停止してしまったケースもあります。このような突発故障は、事前に異音チェックを行うことで防げることがほとんどです。
4. 異音の早期発見に役立つチェック方法

異音トラブルを防ぐには、日常点検で以下を押さえておくことが有効です。
✔ 毎日の「聴診」を習慣化する
・ブロワの音量変化(以前より大きいか?)
・撹拌機の振動は増えていないか?
・ポンプの運転音が軽くなっていないか?(キャビテーションの可能性)
✔ バルブ・配管・サポートのガタつきを目視確認
振動によりサポートが緩むと、「カタカタ」「ビリビリ」といった共振音が発生します。
✔ インペラ・羽根の巻き付きを疑う
週1回など定期的に点検し、「巻き付き→負荷増加→異音」という流れを未然に防ぐことが重要です。
✔ 定期的な軸受・ベルト点検
特にブロワは、ベアリングのグリス注入やVベルトの張り調整を行うだけで寿命が大きく変わります。
5. まとめ:異音は“故障の予告”であり、処理不良の始まり
排水処理設備における異音は、
・回転機器
・揚水設備
・送風設備
に特に多く発生し、その多くは早めに点検を行うことで防げるトラブルです。
「なんとなく音が大きい気がする」
「ガタガタと振動が増えてきた」
こうした小さな変化を見逃さないことが、設備の安定運転につながります。
■排水処理設備の異音でお困りの方へ
―エスプラントサービスが現場を点検・診断します―
エスプラントサービスでは、
・ブロワ・撹拌機・ポンプなどの異音診断
・振動測定・負荷測定
・摩耗部品の交換
・送風量の測定・適正化
・配管・設備まわりのガタつきチェック
・緊急の故障対応
など、排水処理設備の現場に合わせた点検・メンテナンスを行っています。
「少しおかしいな?」と感じた段階の点検が、大きな故障を未然に防ぐ最も効果的な方法です。
異音に関するトラブルにお困りでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。
▽関連記事を読む▽
≫排水処理設備の「見えないリスク」をなくす:そのトラブル、本当に“突然”でしたか?
≫排水設備の老朽化が引き起こす3つのリスクとその回避策
▼併せて読まれています▼
≫排水処理設備で「泡が止まらない」原因と対策
≫排水処理の処理能力、見直すべきタイミングとは

