排水処理設備の耐用年数と交換の重要性

皆さまこんにちは。

関西を中心に排水処理設備の保守・修繕をはじめ、それに関連した電気工事・配管工事・計装工事なども一貫して対応している、大阪府堺市の水処理事業者、㈱エスプラントサービスです。


排水処理設備は、工場やビル、一般家庭などで使用され、水を浄化し環境を守る重要な役割を担っています。しかし、長期間使用すると設備が劣化し、本来の機能を十分に発揮できなくなることがあります。劣化した設備を使い続けると、環境への悪影響だけでなく、法的なトラブルやコストの増大といった問題も引き起こしかねません。

そのため、排水処理設備の耐用年数を理解し、適切な時期に交換することが求められます。


本記事では、設備ごとの耐用年数と、その交換の重要性について詳しく解説します。

ぜひ参考にされてみてください。



■耐用年数とは?


「耐用年数」とは、建物や機械が使用に耐えられなくなるまでの年数のことを指します。材料の損耗や劣化などの物理的な耐久性だけでなく、機能的、経済的な意味を含めた利用可能年数のことをいいます。

排水処理設備の実際的な耐用年数は設備によって差がありますが、納入から20年経ったものもあれば、30年経っても現役で運転しているものもあるといわれています。

しかし法的には、減価償却資産の耐用年数等に関する省令、別表第5「公害防止用減価償却資産の耐用年数表」にて、構築物の耐用年数は18年、機械および装置は5年と定められています。


※参照元:公害防止用減価償却資産の耐用年数表【PDF】

(https://www.city.urayasu.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/000/302/kotei_2.pdf)



■排水処理設備の耐用年数



では実際に、排水処理設備の耐用年数を見ていきましょう。

排水処理設備にはさまざまな種類があり、それぞれの耐用年数も異なります。

主な設備の耐用年数は以下となっています。


活性汚泥処理装置

活性汚泥法を用いた排水処理設備は、一般的に15~20年が耐用年数とされています。ただし、適切なメンテナンスを行わなかった場合、10年程度で性能が低下することもあります。


油水分離装置

油水分離槽は10~15年が耐用年数とされています。特に、工場やガソリンスタンドなど油脂を多く含む排水を処理する場所では、経年劣化が早く進むため、定期的な点検と適切な交換が必要です。


浄化槽

家庭用や業務用の浄化槽の耐用年数は15~20年程度とされています。ただし、スカムの堆積や内部の部品の劣化により、実際には10年程度で性能が低下するケースもあります。


グリーストラップ

飲食店などで使用されるグリーストラップの耐用年数は8~15年です。清掃を怠ると悪臭や詰まりの原因になり、早期の交換が必要になる場合があります。


排水ポンプ

排水ポンプの耐用年数は7~10年と比較的短めです。ポンプは電動部品を含むため、摩耗や故障が発生しやすく、定期的な点検と早めの交換が推奨されます。



■排水処理設備の耐用年数を左右する要因


設備は必ずしも耐用年数いっぱいを使い果たせるわけではありません。排水処理設備も同様、

さまざまな環境や要因によって耐用年数に影響を受けます。


使用環境

設備が設置される環境によって劣化の速度が異なります。例えば、

・油脂や化学物質を多く含む排水を処理する設備は、腐食や詰まりが発生しやすく、耐用年数が短くなる可能性があります。

・高湿度や極端な温度変化がある環境では、機械部品の摩耗や電気系統の故障が発生しやすくなります。


メンテナンスの頻度と質

定期的な清掃や点検を実施している設備は、耐用年数が延びる傾向があります。特に、

・フィルターやポンプの清掃を怠ると、詰まりや性能低下が早まる可能性があります。

・部品交換を適切に行うことで、機械全体の寿命を延ばすことができます。


設備の材質と品質

設備に使用される材質や製造品質も、耐用年数に影響を与えます。

・ステンレスや耐腐食性のある材質を使用した設備は、長期間にわたって安定した性能を維持しやすいです。

・低品質の部品を使用した設備は、早期に劣化し、頻繁な修理や交換が必要になることがあります。


稼働時間と負荷

設備の使用頻度や負荷が大きい場合、部品の摩耗や劣化が早まります。

・24時間稼働する設備は、適切な休止時間を設けることで、負荷を軽減できます。

・一時的な過負荷(例:急激な排水量の増加)が発生すると、機械の負担が増し、寿命が短くなる可能性があります。


外的要因(災害や異物混入)

自然災害や異物の混入も、設備の耐用年数に影響を与えます。

・地震や洪水などの自然災害が発生すると、設備が損傷し、早期の交換が必要になることがあります。

・異物が設備内に流入すると、配管の詰まりやポンプの故障を引き起こす可能性があります。



■耐用年数を過ぎるとどうなる?



耐用年数を超えて排水処理設備を使用し続けると、以下のような問題が発生する可能性があります。


排水処理能力の低下

老朽化した設備は正常に機能しなくなり、適切な処理が行えなくなる可能性があります。その結果、水質基準を満たさない排水が排出され、環境への悪影響を及ぼします。


悪臭や詰まりの発生

設備の劣化により、悪臭や詰まりが発生しやすくなります。特に、グリーストラップや油水分離装置は詰まりやすいため、定期的な点検と交換が重要です。


法令違反のリスク

各自治体には水質基準が定められており、基準を超えた水を排出すると罰則を受ける可能性があります。老朽化した設備を使用し続けることで、法令違反となるリスクが高まります。


維持コストの増加

古い設備は故障やトラブルが発生しやすく、修理費用がかさみます。結果として、新しい設備に交換するよりも維持コストが高くなる場合があります。


税負担の増加

耐用年数を過ぎた償却資産は、減価償却費として計上できません。つまり、経費として認められる項目が減少し課税所得が増えるため、税負担が増加してしまいます。適切に管理しないと、企業の財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。



■排水処理設備の交換のタイミング


排水処理設備の交換を検討すべきタイミングとして、以下のポイントが挙げられます。


耐用年数を超えた場合

そもそも設備の耐用年数を超えてしまっている場合、早めの交換を検討することが重要です。見た目に問題がなくても、内部部品の劣化が進んでいる可能性があります。


頻繁にトラブルが発生する場合

排水ポンプの故障や浄化槽の処理能力低下など、頻繁にトラブルが発生する場合は交換のサインです。


排水の水質基準を満たさなくなった場合

設備の劣化により排水の水質基準を満たさなくなった場合、速やかに交換が必要です。


メンテナンス費用が増加した場合

修理や点検の頻度が増え、コストが増加している場合は、新しい設備への交換を検討しましょう。新しい設備への交換は費用がかさむ場合もありますが、長期的な目で見ると、コストが抑えられるというケースもあります。



■交換時のポイント



排水処理設備を交換する際には、以下の点に注意しましょう。


最新の技術を活用する

新しい設備は、省エネルギー性能や処理効率が向上しているため、最新の技術を取り入れたものを選ぶことが重要です。


設置環境に適した設備を選ぶ

使用環境に応じた設備を選定することで、長期間にわたって安定した運用が可能になります。


専門業者に相談する

設備の選定や設置は専門的な知識が必要なため、専門業者に相談することで適切な提案を受けることができます。



■適切な設備交換で持続可能な排水処理を実現させましょう



排水処理設備は、適切な管理と定期的な交換が求められる重要な設備です。耐用年数を把握し、交換のタイミングを見極めることで、環境保全やコスト削減につながります。特に、法的な基準を満たすためにも、老朽化した設備を放置せず、計画的に交換を進めることが大切です。


かつて高度成長期(特に日本の1950年代後半から1970年代初頭)に、製造業を中心とした急速な産業発展が進み、大規模な工場が各地に建設されました。

その結果、工業排水や生活排水が河川や海へ大量に流出し、水質汚染が深刻化したことがきっかけに、公害対策が急務となり、国や地方自治体は排水処理設備の整備を推進しました。

その時代に導入された設備が今もまだ現役という現状も少なくないようです。

本記事で紹介した、各設備の耐用年数を参考にしていただきながら、持続可能な排水処理の実現を目指し、適切な設備交換を検討されてみてはいかがでしょうか。


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