皆さまこんにちは。
大阪府堺市に拠点を置き、関西を中心に排水処理設備の保守・修繕をはじめ、電気・配管・計装工事など一貫して対応しているエスプラントサービスです。
沈殿槽の水面に、白っぽい浮遊物や茶色・黒色の泡状の塊が浮いている──
この状態がいわゆる「スカム」です。
「最近スカムが増えてきた」
「引き抜いてもすぐ再発する」
こうした悩みは、排水処理設備を持つ工場や事業所で非常によく見られます。
本記事では、沈殿槽でスカムが発生する主な原因と、放置した場合のリスク、基本的な対策をわかりやすく解説します。
■そもそもスカムとは?
スカムとは、水より軽い物質が沈殿せず、水面に浮上したものの総称です。
主に以下のような成分で構成されています。
* 油脂分(動植物油、潤滑油など)
* 微細なSS(浮遊物質)
* 微生物の死骸・フロック破片
* ガスを含んだ汚泥
沈殿槽は本来、固形物を沈めて水をきれいにする設備ですが、
条件が崩れると「沈むはずのものが浮く」状態になります。
■沈殿槽でスカムが発生する主な原因
① 油脂分の流入が多い
最も多い原因が油分過多です。
・原料・製品由来の油
・洗浄工程で流れる油脂
・グリーストラップ未整備・能力不足
油は比重が軽いため、沈殿せず水面に集まり、スカム化します。
特に最近は「以前より原料が変わった」「洗浄方法を変えた」後に急増するケースが目立ちます。
② 汚泥が腐敗・ガス化して浮上している
沈殿槽内の汚泥が長期間引き抜かれていない場合、
嫌気化してガス(硫化水素・メタンなど)を発生させます。
このガスが汚泥に付着すると、
本来沈むはずの汚泥が浮き上がり、スカムとして現れます。
・引き抜き頻度が少ない
・滞留時間が長すぎる
・夏場の水温上昇
これらが重なると特に起こりやすくなります。
③ 凝集・沈殿条件が合っていない
凝集剤を使用している設備では、
・凝集剤の種類が合っていない
・添加量が過不足
・撹拌不足・撹拌しすぎ
といった条件のズレにより、フロックが軽くなり浮上することがあります。
この場合、見た目は「泡のようなスカム」になることが多いです。
④ 流入負荷の急変・設備能力オーバー
・生産量の増加
・一時的な高濃度排水の流入
・雨水混入による流量変動
こうした変化に沈殿槽が対応できないと、分離不良が起こりスカムが増加します。
■スカムを放置すると起こる問題
「浮いているだけだから」と放置すると、次のようなトラブルにつながります。
・放流水のSS、油分超過
・上澄みと一緒に汚泥が流出
・悪臭の発生(特に夏場)
・後段設備(ろ過器・膜)の詰まり
・汚泥処理量、産廃コストの増加
沈殿槽は汚泥が浮上することを前提に作られてはいません。
スカムは“異常のサイン”であり、放置して自然に治ることはほぼありません。
■スカムを発生させないためには(予防)
① 油脂分を沈殿槽に入れない工夫をする
スカム対策で最も効果的なのは、原因物質を前段で減らすことです。
・グリーストラップの設置・清掃頻度の見直し
・洗浄排水を一度貯留して油分を分離
・油分の多い排水を分割投入(一気に流さない)
沈殿槽は「油を処理する設備」ではありません。
油をいかに入れないかが、スカム防止の第一歩です。
② 汚泥引き抜きを「溜まってから」ではなく「定期的に」
汚泥が腐敗して浮上するタイプのスカムは、引き抜き不足が原因であることが非常に多いです。
・汚泥界面が高くなりすぎていないか
・最後に引き抜いたのはいつか
・夏場だけでも頻度を上げられないか
「まだ問題ないから先延ばし」が、結果的にスカム増加と悪臭を招きます。
③ 凝集条件を定期的に見直す
原水水質は、季節や生産内容で少しずつ変化します。
・凝集剤の種類は今の水質に合っているか
・添加量が経験値のままになっていないか
・撹拌が強すぎてフロックを壊していないか
沈殿しにくいフロック=浮きやすいスカムになります。
定期的な簡易テスト(ジャーテスト)だけでも効果があります。
④ 急激な負荷変動を避ける
・高濃度排水を一気に流さない
・雨水混入を防ぐ
・生産ピーク時の流量を把握する
沈殿槽は「安定した条件」で最も性能を発揮します。
負荷の急変は、スカム発生の引き金になります。
■すでに発生しているスカムへの対策(応急・改善)
① スカムを除去する(ただし一時的対応)
ネットやバキュームでのスカム除去は、悪臭対策・後段設備保護としては有効ですが、根本解決ではありません。
必ず「なぜ発生したか」を並行して確認しましょう。
② 汚泥を一度リセットする
スカムが大量に出ている場合、
・汚泥引き抜き量を一時的に増やす
・底部汚泥を重点的に抜く
ことで、ガス化・浮上の連鎖を止められることがあります。
「抜きすぎが怖い」場合は、専門業者に相談するのが安全です。
③ 凝集条件を調整して沈める
浮いているスカムが微細フロック由来の場合、凝集剤の種類変更・補助剤の併用・撹拌条件の調整で沈殿改善できるケースもあります。
見た目が「泡っぽい」「白っぽい」場合はこの可能性が高いです。
④ 専門業者による点検・診断を受ける
スカムが慢性化している場合、設備能力と実負荷のズレ・槽内構造の問題・運転方法の属人化など、現場では気づきにくい原因が隠れていることもあります。
一度の点検で、長年の悩みが解消するケースも少なくありません。
まとめ:スカム対策は「原因特定」が最優先
沈殿槽のスカムは、
・油脂分
・汚泥管理不良
・処理条件のズレ
・負荷変動
といった複数要因が重なって発生することがほとんどです。
表面をすくうだけでは根本解決になりません。
「なぜ浮いているのか」を見極め、
必要に応じて運転条件の見直しや専門業者による点検を行うことが重要です。
スカムは、排水処理設備が出している重要な警告サイン。
早めの対応が、トラブルとコスト増を防ぐ近道になります。
エスプラントサービスでは水処理に関するあらゆるお悩みのご相談を受け付けています。
トラブルが起こる前でもかまいません。
判断に困っている段階でぜひ一度ご相談ください。
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