皆さまこんにちは。
大阪府堺市に拠点を置き、関西を中心に排水処理設備の保守・修繕をはじめ、電気・配管・計装工事など一貫して対応しているエスプラントサービスです。
工場排水や薬液の貯留槽として幅広く採用されている「FRP水槽(繊維強化プラスチック製水槽)」。軽量で耐食性に優れた素材として、多くの工場で中和槽・薬液槽・原水槽などに利用されています。しかし、耐久性に優れる一方で、経年劣化や使用環境によるトラブルは避けられず、補修や更新を検討しなければならないタイミングが必ず訪れます。
本記事では、FRP水槽の基礎知識からメリット・デメリット、よくあるトラブル、補修・更新の判断基準までを詳しく解説し、設備担当者が「計画的な維持管理と更新」を進められるよう整理しました。
参考にしていただけましたら幸いです。
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1. FRP水槽とは?基礎知識と特性
FRP水槽の「FRP」とは Fiber Reinforced Plastics(繊維強化プラスチック)の略称です。ガラス繊維などの強化材を樹脂に混ぜ込み、強度や耐薬品性を高めた素材で、工業用の水槽として幅広く採用されています。
FRP水槽の特徴
・軽量:同サイズの鋼製水槽に比べて大幅に軽く、施工や据付が容易。
・耐食性:酸・アルカリに強く、排水処理や薬液保管に適する。
・成形自由度:現場や用途に応じて形状・サイズを柔軟に設計可能。
・断熱性:熱伝導率が低いため、内容液の温度変化を抑えやすい。
2. FRP水槽のメリットとデメリット
メリット
・錆びないため長期間使用できる
・工場内の排水・薬液処理に幅広く対応可能
・補修やライニング施工で延命できる
・耐用年数が10〜15年程度と比較的長い
デメリット
・紫外線劣化:屋外設置の場合、表面が白化・クラック化しやすい
・高温に弱い:100℃以上の液体には不向き
・経年劣化:層間剥離や漏水が発生することがある
・突発故障のリスク:点検不足により突然の漏水事故に発展
3. FRP水槽の耐用年数と点検の重要性
一般的にFRP水槽の耐用年数は 10〜15年とされています。しかし、使用環境や内容液の性質によっては寿命が短縮するケースもあります。
点検で確認すべきポイント
・外観:表面のひび割れ、白化、膨れ
・内面:ライニングの摩耗、薬液による変質
・接続部:配管との接続フランジからの滲み
・水漏れ:底部や側面からの微細な漏水
これらの異常を早期に発見すれば、補修で対応できる範囲に収まる可能性が高くなります。
4. FRP水槽によくあるトラブル事例
事例1:食品工場のアルカリ洗浄排水槽
定期的に高濃度アルカリを流していた結果、10年経過時点でクラック発生。早期にライニング補修を行い、追加10年の延命に成功。
事例2:化学工場の薬液槽
想定以上の薬品濃度を扱ったため、内面が早期に劣化。再設計により材質を変更して新設。
事例3:中小工場の排水槽
点検未実施で、底部から突然漏水。緊急工事で操業停止を余儀なくされ、コスト増大。
👉 ポイントは「突発トラブルを防ぐ定期点検」と「補修・更新の計画的実施」です。
5. FRP水槽の補修方法とメンテナンス
FRP水槽の補修は、状態によって対応方法が異なります。
補修方法
・ライニング補修:ポリウレア等で内面に新たな樹脂層を施工し、耐薬品性と強度を回復
※参考記事≫ ポリウレアとは?特徴やメリットデメリットをご紹介!
・クラック補修:小規模なひび割れを樹脂で埋め補強
・外面補修:紫外線劣化や外観損傷を保護塗装で改善
メンテナンスの基本
・年1回以上の定期点検
・補修履歴の記録管理
・ライニングの再施工タイミングを把握
6. FRP水槽を更新すべきタイミング
次のような兆候が見られた場合、更新を検討すべきタイミングです。
・繰り返し補修しても漏水が再発する
・補修コストが新設費用を上回りそう
・容量不足(処理量増加による槽の拡張が必要)
・薬品特性の変更(新薬品への対応が必要)
・耐用年数を大きく超過している
補修で延命できる限界を超えたら、早めの更新計画がコスト最適化につながります。
7. 補修と更新のコスト比較
【補修】
短期的には安価。ただし、繰り返すと総コストが増加。
【更新】
初期投資は大きいが、長期的にはメンテナンス負担が減少。
設備担当者に求められるのは「補修で延命するか、更新に切り替えるか」の判断。
そのためには、専門業者による診断が不可欠です。
■まとめ|FRP水槽の長寿命化と計画的な更新のすすめ
FRP水槽の長寿命化や計画的な更新をご検討の際は、経験・知識が豊富な専門業者の診断が不可欠です。
私たちエスプラントサービスは、FRP水槽の点検・補修・更新工事を一貫対応しています。
・工場ごとの排水や薬液特性に応じた材質選定
・突発トラブルを防ぐ定期点検
・緊急時の迅速対応
・更新工事の設計・施工までワンストップ
「どこまで補修で持たせられるか?」「更新すべきか?」と悩む担当者様に、最適な判断材料をご提供します。
FRP水槽に関する点検・補修・更新のご相談は、ぜひ一度エスプラントサービスまでお気軽にお問い合わせください。
≫お問い合わせはこちらから≪
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